講義内容の紹介
生命科学基礎実習II(掲示板はこちら→)
生命科学科と物質科学科を問わず、2年生全員が対象
火曜日から木曜日の3時限から4時限
細胞にとって重要な機能のひとつは、細胞内のイオン組成を一定に保つことである。淡水中で生きている生物は外液の低いイオン濃度にもかかわらず、多量のイオンを細胞内に溜め込む。その結果、原形質膜を介して非常に大きい浸透圧の差が存在する。原形質膜は半透性の性質を持つために水が細胞内に流入する力が発生する。細胞壁を持つ植物細胞では細胞壁に対する膨圧が発生することにより水の流入が抑えられる。ゾウリムシのように細胞壁を持たない原生動物の場合は細胞内外の浸透圧の差に従って、水が細胞内に入る。このような状態が進むと細胞は次第にふくらんで本来の形態を維持できない。場合によっては、細胞が破壊される危険性もある。このような状況を避けるために原生動物は収縮胞によって絶えず水を細胞外にくみだしている。収縮胞は拡張と収縮を周期的に繰り返す。これを脈動と呼ぶ。拡張時には原形質内から水を集めて膨満し、収縮時には集めた水を細胞外に放出する。
第1週:ゾウリムシの収縮胞に対する外液浸透圧とエネルギー代謝阻害剤の効果
(1)脈動の頻度に対する外液の浸透圧の効果
(2)脈動頻度に対するエネルギー代謝阻害剤の効果
第2週:花粉管の生長および生長における膨圧の役割
(1)花粉管の発芽と伸長
(2)花粉管の伸長に対する外液浸透圧の効果
生命科学実習I(掲示板はこちら→)
生命科学科学生が対象
火曜日から金曜日の3時限から5時限(曜日による変動あり)
この実習の第一日目では、酵素活性の測定とタンパク定量の基本操作を学ぶ。β-ガラクトシダーゼを取り上げ、活性測定が容易な合成基質を用いて反応を解析する。得られたデータから、酵素反応の最大速度 (Vmax) や基質への親和性 (Km) 、さらには比活性や分子活性などの各種の反応速度パラメーターを求め、酵素の基本的性質を考察する。
次に、残りの3日間を使って細胞材料の取扱い法と、生化学的な分析法について学ぶ。遺伝子組換えによってHAタグが付加された3種の組換えタンパク質と、大腸菌-ガラクトシダーゼを加えた4種を同時発現するホ乳類の培養細胞を用い、簡単な細胞分画によって得られた画分のタンパク質の定量と酵素活性の測定を行う。また、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) と抗体を使った検出によって3種の組換えタンパク質の細胞内局在を解析する。
実験1:第1日(火):β-ガラクトシダーゼの酵素活性およびタンパク定量の基本操作
実験2:第2日(水):細胞分画により得た画分のタンパク定量と酵素活性測定
実験3:第3日(木):細胞内局在の解析(SDS-PAGEとブロッティング)
第4日(金):細胞内局在の解析(検出反応とデータ解析)、実習全体の総括と討論
その他の担当科目
生物学実習(学部1年生、書写キャンパス)
情報処理(学部1年生、書写キャンパス)