講義内容の紹介

生物化学4(この講義の掲示板はこちら

糖質およびタンパク質に重点を置き、核酸を加えた生体分子の有機化学の基礎を解説する。酵素反応と一般の有機化学反応を対比させることにより、酵素による反応触媒機構を解説する。なお、掲示板は講義期間に限定して定期更新しますが、アクセスは期間を限定しない。

生体を構成する基本物質である糖質、タンパク質、脂質、および核酸について、構造と化学的性質を解説する。これらを踏まえた上で生体内で行われる酵素による反応触媒機構について、いくつかの例を取り上げて有機化学の面から解説する。

生体分子設計学(この講義の掲示板はこちら

最近の研究から、RNA分子による遺伝子発現の制御やゲノム構造維持のメカニズムが生体に広く備わっていることが明らかになっています。本講では、RNA干渉や非コードRNAなどの分子生物学上の最新トピックスを紹介します。また、急速に広まったゲノム編集についての話題にも触れます。なお、本講義の前半の2週において、反応そのものを任意に設計してその反応を思い通りの選択性で触媒出来る酵素を創出する方法論について、特別に時間を割いて解説します。残りの13週は、リボザイムとRNA干渉の発見から論を起こし、マイクロRNAの発見と非コードRNAによる生命現象の調節などについて解説します。最後に、近年になって急速に発展したゲノム編集についての話題にも触れます。

講義内容・授業計画
(1)触媒RNA: catalytic RNAs
リボザイムを始め、人工制限酵素に代表されるRNAやDNA分子を特異的に切断する触媒分子
(2)RNA干渉法など分子生物学での最新トピックス: current topics of RNAi
RNA干渉の基礎事項
siRNAとmiRNA
non-coding RNAなど最近のトピックスを含めて日本語で幅広く解説
(3)ゲノム編集
CRISPR/CAS9、発見からゲノム編集への応用までの歴史を概説
(4)酵素の触媒メカニズム・概論
酵素活性の特異性の変換例、細胞内での安定性の制御
タンパク質分子の化学修飾とアミノ酸改変による機能制御
(5)触媒抗体: catalytic antibodies
触媒機能を持った抗体の例
自己免疫疾患などで生体内でも生成することがある
抗イディオタイプ抗体について
ファージディスプレイ(phage display technology)、組換えDNA技術により思い通りの抗体を設計する

  • 大学生だった頃

    私が学生だった当時の講義は、自分の執筆した教科書を丸読みして説明を少しだけ加える先生とか、教科書の内容を踏まえて話を大きく広げる先生、教科書なしでオムニバスにトピックスを追う先生、体系的にまとめた講義ノートを下敷きにして板書と説明が同時進行する先生など色々・・いずれにせよメモを必死こいてとってました。
  • 講義の形式

    生物化学4(学部)と生体分子設計学(大学院)の講義では、配布した資料を使って講義を進めます。学部の講義では卒業研究を進めるのに必要な知識にも触れます。大学院の講義では英語の原著論文を取り上げ、そこに書かれている実験手技や研究の目的、データから導かれた結論などを討論します。また、バイオサイエンス関連の英語動画を視聴します。
  • 今どきでは・・

    講義資料をパワーポイントに貼り付けて教室のプロジェクターで投射し、同じ内容をプリントしたものを配布しないと講義の進展について行けないことがあるそう。それから、板書されたボードをスマホで撮影するのも見かけます。先生から聞いた話を自分なりに理解して、その内容を講義中にメモし、あとで調べたものを書き足すなんてのは今どきではないです・・少し寂しいですね。
  • 詰め込み学習バンザイ!

    受験勉強とかで批判される意味での詰め込みとは少々違いますが、批判を承知で敢えて言わさせて下さい。やっぱ、あれこれ節操なく興味を持ち、自分から幅広く調べたり人から教わったりして、自分なりのストーリーを組み立てて知識を体系化する・・大学とか企業での研究に限らず、世間一般の職業でも必要な姿勢ですよね。私の高校大学時代、今でもエラソーに構えている某新聞社Aとか当時の偉いジャーナリストとかに批判されてましたが、詰め込み教育の恩恵をひしひしと感じてます。