- 2020/02/17
- 気になる研究を紹介
小胞体で複合体を形成できなかったサブユニットのAsi複合体による分解
Quality Control of Protein Complex Assembly by a Transmembrane Rocognition Factor
Nivedita Natarajan, Ombretta Foresti, Kim Wendrich, Alexander Stein, and Pedro Carvalho
Molecular Cell 77, 108–119 (2020
核膜内膜に局在化するタンパク質は、小胞体膜に挿入されたあとで膜上を拡散して核膜内膜に到達し、そこでクロマチンやラミンとの結合を介して核膜内膜に留まります。
一方、小胞体局在の膜タンパク質の一部は膜上を拡散して間違って核膜内膜に侵入するようで、どのような機構で核膜内膜のプロテオームを維持しているのか興味深いところ。
この論文では、核膜内膜で行われるタンパク質品質管理にスポットを当て、研究の取っ掛かりとして酵母がもっているAsi複合体に注目します。
Asi複合体のうち、Asi1とAsi3はRINGドメインをもつユビキチンリガーゼ(E3)ですが、Asi2の機能は不明です。
また、E2はUbc4とUbc7で、Cdc48/Npl4/Ufd1複合体がユビキチン化されたタンパク質を膜から引き抜きプロテアソームに渡すことが知られてます。
そこで、基質となるタンパク質の性状、基質タンパク質と結合するサブユニット、そのサブユニットが認識する基質の配列などを様々なテクニクを駆使して調べ上げ、生理的な意義づけにまで発展させてます。
結論は以下の通り。
(1) 複合体として会合していない単独状態のサブユニットの品質管理が核膜内膜で行われている。
(2) Asi複合体が未会合のサブユニットを分解する。
(3) Asi2が基質認識を担っていて、基質タンパク質の膜貫通領域を認識している。
(4) 過剰に生成したサブユニットを分解することで個々のサブユニット の量のバランスを調節する。
(5) 動物細胞でこのシステムが存在するかどうかは不明。