- 2020/09/20
- 本・音楽・映画・娯楽
私の偏愛するSFたち
まずは、上田 早夕里「華竜の宮」
大規模な地殻変動が引き金となり気候が温暖化して陸地の大半が水没。住み慣れた土地を追われた避難民の受け入れを拒む国家が放った殺戮兵器と他国の対抗兵器が暴走し、人類は絶滅寸前まで追い詰められます。
そんな事態をなんとか平和的に解決して繁栄を取り戻した25世紀、人工都市に住む陸上民の国家連合と遺伝子改変で海に適応した海上民との間で新たな確執が生まれます。遺伝子改変で生み出された獣舟の存在も不穏な動きを見せています。
そんな状況を解消しようと東奔西走する主人公の青澄誠司は、ある海上民の集団の長(オサ)を務めるツキソメと会い、陸上社会と海上社会の諍いを無くそうと働きかけますが、政府官僚同士の諍いと国家連合の思惑が障壁となって立ち塞がります。
物語はそんな葛藤を中心に進みますが、事態は違う方向に進み、せっかくの繁栄を取り戻した人類の存亡に関わることに・・
続編の「深紅の碑文」も味わい深いです。
前作のその後、大異変と呼ばれる地球規模の地殻変動が迫ってます。それがいつになるか不確定ななか、資源をめぐる国家の対立や陸上民と海上民の対立が深刻化し、武力衝突が頻発。
同じ滅亡するのであれば、人類がいがみ合ったままよりも笑い合っているほうが救われるはず。そんな信念のもと、一触即発の状況を憂慮した青澄誠司は、自ら救援団体を立ち上げ理事長となり、ここでも東奔西走します。
でもやっぱり、資源の独占を目論む国家連合や、自由を求めて海賊化した一部の海上民集団が障壁となり、最後には・・