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2021年04月12日の記事は以下のとおりです。

液–液相分離が駆動する葉緑体チラコイドタンパク質の局在化制御

Liquid-Liquid Phase Transition Drives Intrachloroplast Cargo Sorting

Min Ouyang, Xiaoyi Li, Jing Zhang, Peiqiang Feng, Hua Pu, Lingxi Kong, Zechen Bai, Liwei Rong, Xiumei Xu, Wei Chi, Qiang Wang, Fan Chen, Congming Lu, Jianren Shen, and Lixin Zhang

Cell 180, 1144–1159 (2020)

 

葉緑体の内部は三重の膜で仕切られており、外包膜、膜間空間、内包膜、ストロマ、チラコイド膜、そしてチラコイド内腔の6つの区画に分けられます。

葉緑体に局在化するおよそ3,000種のタンパク質のうち一部が葉緑体ゲノムに由来しますが、大多数は核ゲノムに由来します。

後者の場合、タンパク質は細胞質で生合成されてから葉緑体の然るべき場所に局在化する必要があります。

したがって、各々のタンパク質の局在化を制御している機構を明らかにする研究が古くから成されてます。

 

この論文で問題とするのはチラコイドのタンパク質のケースでして、多くのタンパク質で混み合ったストロマのなかをチラコイドに効率よく運搬するしくみを探ることを目指してます。

 

詳細は省き要約すると、

(1) 葉緑体のストロマにおいてSTT1と STT2のヘテロオリゴマーがTat経路のカーゴをチラコイドに選別する。STT1とSTT2は、もともとEMB506とANKRと呼ばれていたタンパク質で、カーゴと結合するものとして酵母ツーハイブリッドで見出されてます。

(2) カーゴのアミノ酸配列に含まれるシグ ナルがSTT複合体の相分離を促進する。Tat経路のカーゴがもつ局在化シグナルは、数個の正電荷アミノ酸の後方に10数個の疎水性アミノ酸が続く構造。STT複合体は標的化シグナル存在下でオリゴマー化して液–液相分離を起こします。

(3) STT複合体の相分離がカーゴのチラコイドへの選別に必要。オリゴマー化が抑制される変異体ではチラコイド膜への標的化が抑制されます。

(4) Hcf106が相分離の状態を解除することで、カーゴのチラコイド内腔への移行が促進される。Hcf106とTatCはカーゴを受容する複合体を構成してます。カーゴは、相分離状態にあるSTT1/STT2オリゴマーに取り込まれた状態でチラコイド膜へ標的化され、受容体に含まれるHcf106が相分離状態を解除することでカーゴが放出され膜を通過していくと言うシナリオを提唱してます。

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