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2022年05月25日の記事は以下のとおりです。

肝細胞の極性とRab35の関係

Anisotropic expansion of hepatocyte lumina enforced by apical bulkheads

Lenka Belicova, Urska Repnik, Julien Delpierre, Elzbieta Gralinska, Sarah Seifert, José Ignacio Valenzuela, Hernán Andrés Morales-Navarrete, Christian Franke, Helin Räägel, Evgeniya Shcherbinina, Tatiana Prikazchikova, Victor Koteliansky, Martin Vingron, Yannis L. Kalaidzidis, Timofei Zatsepin, and Marino Zerial

J. Cell Biol. 2021 Vol. 220 No. 10 e202103003

(https://doi.org/10.1083/jcb.202103003)

 

管腔形成の方向には、isotropicすなわち等方向に広がるタイプと、anisotropicすなわち異方的に伸長するタイプがある。前者の例には腺房や肺胞があって、嚢胞状の構造をとる上皮組織を形成する。後者はいわゆる管状構造の上皮組織を形成するタイプで、気管、腸管、尿細管、肝などが相当する。

 

一般的な上皮細胞は1つのapical-basal axisに形成されるvectorial polarityを示す。肝細胞は他と較べて特殊で、複数のapical-basal axisが形成されてbiaxial polarityを示す。

 

内胚葉細胞から派生した肝芽細胞が肝前駆細胞と胆管上皮前駆細胞に分化し、それぞれが肝細胞と胆管上皮細胞へと成熟する。同じ細胞から分化するのに、肝細胞がbiaxial polarityで胆管上皮細胞がvectorial polarityを示す。その違いが何なのかを説明しようとするのがこの論文。

 

まずマウスの胎児より肝臓を取り出し、肝臓を消化したのちにDlk1を発現する細胞を集めておく(Dlk1は肝芽細胞のマーカータンパク質)。細胞外基質を用いて培養した肝芽細胞は極性を発現して成熟肝細胞へと分化し、細胞間に微小胆管を形成する。このようにして肝細胞による管腔形成を再現する実験系を確立した。

 

形成途上の微小胆管を詳細に観察した結果、アクチンで染色される縞模様の構造が見出され、これをapical bulkheadとした。apical bulkheadは、融合や分岐を繰り返して微小胆管のネットワークを形成した。apical bulkheadは竹の節のように見えるが、節どうしは個々に隔てられた空間ではなく連続していた。

 

次に、管腔形成への関与が知られている25種のタンパク質の肝芽細胞での発現をRNA干渉で抑制し、apical bulkheadの形態を変えるものをスクリーニングした。その結果、Rab35のノックダウンによって肝細胞の極性がbiaxialからvectorialにシフトし、しかもapical bulkheadが消失して肝細胞が嚢胞を形成するすることが見出された。この点が非常に重要で、Rab35のノックダウンによって管腔形成がanisotropicからisotropicにシフトすることを示している。マウス胎児の肝臓でRab35の発現をノックダウンしてみると、apical bulkheadが消失し肝細胞が嚢胞を形成することも分かった。

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