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PCRは万能か?

巷のマスコミでは、日本でのPCR検査の少なさを批判する論調が大勢を占めてますかねぇ・・

これに水を差すようでアレですが、ひとこと言わせてください。

 

日々の研究の現場でもPCRは必須の技術となってますが、PCRってそんなに正確ではないですよ。

試薬の混ぜ方や匙加減、ポリメラーゼによる合成開始の目印となるプライマーの配列とか量、Mg2+とかDMSOといった補助剤のあるなし・・微妙な違いで結果が大きく違うなんてことがザラ。

 

ましてや、今回のコロナウイルス感染の検査では、人から採取した検体のPCRです。

採取する人の技量、検体を処理する人の技量、そして診断キットの信頼性とか色んなファクターが結果に影響します。

あと、PCR装置の信頼性も大事です。

しかもコロナウイルスのRNAをDNAに変換するステップも加わります。

PCRの操作に慣れた私でも、検査で行うqPCRで一定品質のデータを出せるかどうか自信ありません。

 

そして検査員さんは、毎日検体の処理に追われて過酷な日々を送るのですよね?

そんな過酷な状況の検査員さんを、地獄に突き落とそうかと言わんばかりの風潮は頂けません。

PCR検査をやみくもに増やすことで、検査の現場を崩壊させる危険があります。

 

ただし、37度5分以上の熱が4日間とかいう線引きはナンセンスだと思います。

現在この辺の線引きが議論されているようで、激しい症状が出たら即検査とかに変更されるのではないでしょうか。

そして肝心なのは検査のキャパシティーを超えない事です。

 

やれPCRだと騒ぐマスコミ関係者は、今本当に国民にとって必要なことが何かを伝えるよりも、PCR検査の数が少ないことで政権批判をする方が大事なんでしょう・・きっと。

民度

中国の武漢から感染拡大した新型コロナウイルスに絡んで、徳島県外ナンバーのクルマに暴言を浴びせる、あおり運転をする、投石する、鋭利なもので車体に傷を付けるといったヘイト的行為が頻発しているとのニュース。

 

私は高知県出身ですが、同じ四国の人間として恥ずかしい限りである。

こんな弱いものイジメみたいな行為はやめてもらいたいです。

もしも県外ナンバーのクルマが、ガラスが黒っぽいスモーク仕様で大阪ナンバーのベンツとかの高級車だったら、そんなことが出来るのかねぇ?

有り得ないケースかもしれませんが、県外ナンバーのパトカーにも同じような仕打ちが出来るのかね?

 

極め付きは、こう言ったヘイト行為から自己防衛するため、「徳島県内在住者です」と表示した車用のステッカーも販売されているとのこと。

ここまで来ると異常ですし、お笑いです。

 

コロナウイルス感染者を受け入れている病院のある地域では、全部とは言いませんが、医療関係者とその家族に差別的な対応があるとのこと。

また、そう言った病院前のバス停から乗車しようとしたお客に、バスの乗客が罵声を浴びせるなんてことも大阪であったとのこと。

 

ちなみに、アノ「奸国」では、新型コロナウイルスの感染が広がった大邱市出身者に暴言を浴びせる、病院で診察を拒否すると言った差別的行為が報告されてます。

アノ国の人達はウリとナム、甲と乙と言った上下関係の線引きを重要視し、弱い立場の者に対して徹底的に攻撃する・・なんてことが思考回路に刷り込まれているそうです。

また、例の武漢では、感染者の家の戸にクギを打ち込み出入りできないようにして、部屋の中に監禁したなんてことも。

 

こんな「誅国」や「奸国」と同じ、民度の低い行為が横行する日本は見たくないです。

小胞体で複合体を形成できなかったサブユニットのAsi複合体による分解

Quality Control of Protein Complex Assembly by a Transmembrane Rocognition Factor

Nivedita Natarajan, Ombretta Foresti,  Kim Wendrich, Alexander Stein, and Pedro Carvalho

Molecular Cell 77, 108–119 (2020

 

核膜内膜に局在化するタンパク質は、小胞体膜に挿入されたあとで膜上を拡散して核膜内膜に到達し、そこでクロマチンやラミンとの結合を介して核膜内膜に留まります。

一方、小胞体局在の膜タンパク質の一部は膜上を拡散して間違って核膜内膜に侵入するようで、どのような機構で核膜内膜のプロテオームを維持しているのか興味深いところ。

この論文では、核膜内膜で行われるタンパク質品質管理にスポットを当て、研究の取っ掛かりとして酵母がもっているAsi複合体に注目します。

 

Asi複合体のうち、Asi1とAsi3はRINGドメインをもつユビキチンリガーゼ(E3)ですが、Asi2の機能は不明です。

また、E2はUbc4とUbc7で、Cdc48/Npl4/Ufd1複合体がユビキチン化されたタンパク質を膜から引き抜きプロテアソームに渡すことが知られてます。

 

そこで、基質となるタンパク質の性状、基質タンパク質と結合するサブユニット、そのサブユニットが認識する基質の配列などを様々なテクニクを駆使して調べ上げ、生理的な意義づけにまで発展させてます。

結論は以下の通り。

(1) 複合体として会合していない単独状態のサブユニットの品質管理が核膜内膜で行われている。

(2) Asi複合体が未会合のサブユニットを分解する。

(3) Asi2が基質認識を担っていて、基質タンパク質の膜貫通領域を認識している。

(4) 過剰に生成したサブユニットを分解することで個々のサブユニット の量のバランスを調節する。

(5) 動物細胞でこのシステムが存在するかどうかは不明。

火星の人

(この記事は2018年8月7日に投稿したものを再編・追記しました)

火星の人(著者:アンディ・ウィアー/訳者:小野田 和子/早川書房/2014年8月)

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巷では理系の読者に間違いなくウケるとの評もありますが、理系も文系も関係なく文句なしの面白さ。

ちょっとした不幸な事故で、ひとり火星に取り残された主人公マーク・ワトニーのサバイバル。

主人公は生き延びるために色々と知恵を絞り、生き延びるための計画で色々と計算しますが、細かな理屈なんてササッと通り過ぎればいいんです。

 

火星から遠く離れた地球では、アメリカだけではなく各国が主人公の救出に手を尽くしますが、救援が失敗する描写があります。

時間に追われた急ごしらえの計画で十分なテストを省略したのが原因でした。

 

ちなみに、最接近時では地球と火星の距離は、およそ4光分で約7千万Kmほど。

最も離れた位置関係ですと、地球と火星はおよそ13光分で約2億3千万Kmの距離にまで差が広がります。

作中では通信に片道12分かかるという設定でした。

よって、最接近時の3倍の距離で隔てられていることになります。

もしも近い位置に火星があれば時間の余裕もあるはずで、急ごしらえのアイリス探査機を載せたイーグルアイの打ち上げ失敗が起こらなかったのかもしれません。

 

ハイテクを駆使したはずの地球からの救援が失敗するのに対し、主人公がローテクを駆使してお気楽にハイテク装備を改良したり不具合を直したりする対比が面白いです。

また、主人公に悲壮感が全くないのも、物語の読みやすさに貢献。

 

同じ火星サバイバルもので、火星での長距離移動の旅を綴る「火星縦断」(著者:ジェフリー・A・ランディス/訳者:小野田 和子/早川書房/2006年5月)があります。

著者はNASAの技術者とのことで、火星の描写とか装備品や機械の描写が超リアル・・ですが、こっちは登場人物の過去の挿話が読んでて辛いです。

 

また、最近では「火星無期懲役」(著者:S. J. モーデン/訳者:金子浩/ハヤカワ文庫SF/2019年4月)という、サバイバルものがあります。

こちらは、無期懲役で刑務所から生きて娑婆に出られない囚人を、自由と引き換えに火星基地建設に送り出したのですが、行った先で次々と囚人が事故死を遂げ・・というストーリーです。

組換え型ナノボディーがオープンソースとして公開される

A toolbox of anti–mouse and anti–rabbit IgG secondary nanobodies

Tino Pleiner, Mark Bates, and Dirk Görlich

J. Cell Biol. 217, 1143-1154 (2018)

 

ラクダ科動物がもつ抗体でIgGに分類されるIgG2とIgG3の重鎖は、軽鎖と会合できません。

(高校生物などでお馴染みの図にあるIgG1は、軽鎖と会合して4量体のかたちで抗体分子として機能します)

そのためIgG2とIgG3は重鎖だけの二量体の状態ではたらきます。

これを重鎖抗体と呼び、他のホ乳類の抗体では見られない抗体分子です。

 

ナノボディーとは、この重鎖抗体をファージディスプレイの形で研究に利用出来るように工夫したものをいいます。 

この論文では、アルパカの重鎖抗体の遺伝子の塩基配列から抗原認識を決定する領域を取り出してファージディスプレイライブラリーを作成し、マウスの抗体と結合するファージ粒子をパニングすることで選別してます。

さらにはアフィニティー・マチュレーションという手法で、マウス抗体と強く結合するファージ粒子を選別してます。

 

どのような実験に適用出来るのか挙げると、

・HRPで標識したナノボディーやAPEXと融合したナノボディーは、一般的な二次抗体として使用可能

・IRD680やIRD800などの近赤外蛍光色素で標識したナノボディーを使うことで、Western blottingの際に二重染色が可能

・細胞染色にも遜色なく使用できる

・一次抗体と二次抗体のプレミックスを使った1ステップ細胞染色が可能

・超解像蛍光顕微鏡を使った画像取得にも使用可能

 

Addgeneからナノボディーが入手出来ます(IDs 104157–104164)。

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